*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
――ほんとに、いないよ。


だって、コロちゃんのことは、“恋“じゃないもの。

いつもいつも彼のことを考えてしまうとか、

想像しただけで、切なくて胸が苦しくなるとか

そんなんじゃないもん。


わたしは彼の名前すら知らない。

どんな性格なのか、何に興味があるのか、いつも耳にあててるヘッドフォンから流れている音楽が何なのか……

何も知らない。


そんな状況で好きになるなんてあり得ないよ。

コロちゃんには、きっとお似合いの彼女とかがいるだろう。


そうだな……。

彼のとなりにいる人は、多分、大人っぽくて、美人で……

ああ……年上の女子大生なんかも似合いそう。

なんて、軽く得意の妄想に入ってみる。


だけど、ほらね?

そんなことを想像してもわたしはちっとも傷ついていない。



きっと、そういう“好き”じゃないんだ。
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