*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「ちぃちゃん……」


2人の位置がちょうど横になった時、どちらともなく足を止めた。


「髪切ったんや」


「あ……うん」


「めっちゃ可愛いやん。似合ってんで」


サトシ君は相変わらず照れもせず、優しい言葉をかけてくれた。


「……ありがと」


「何かあったん? 急いでるみたいやけど」


わたしが息を切らしているので、そう思ったのかな。


「うん……えと、シィ君……探してて。サトシ君、見かけへんかった?」


「あー……」


サトシ君は一瞬視線を泳がせて、何か言いかけてやめた。


「知ってるけど……。言わへん」


「え?」


なんで?

サトシ君の言葉に戸惑ってしまう。


サトシ君はニコニコ笑って

「自分で探してみ?」

そう言うと、わたしの頭をポンポンと軽く撫でてそのまま階段を昇っていった。
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