*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
そこは、北校舎と南校舎を繋ぐ渡り廊下。

わたし達が初めて出会った場所。

2人がぶつかって、シィ君がスケッチブックを拾ってくれたあの場所だった。



シィ君は中庭を眺めながら、1人で佇んでいた。

初めて会った時と同じように、ヘッドフォンを耳にあてて音楽を聴いているようだった。


そのせいで携帯の着信音に気付かなかったのかな。


ゆっくりと足を進め、シィ君に近づいていった。



やがて、シィ君はわたしの気配を感じ取ったのか、こちらを向いた。


「ちぃちゃん……」


そう言いながら、ヘッドフォンを耳から外した。


「良かった、会えて……。もう帰ったんかと思った」


「オレのこと、探してくれてたん?」


「うん。あの……記念に何かメッセージもらおうかなって思って」


そう言いながらスケッチブックとペンを彼に手渡そうとした。

だけどその瞬間、手が滑って、スケッチブックを床に落としてしまった。

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