*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・大人になった私

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――――……



深い深いキスをした。

それまでの距離と時間を埋めるかのように互いの体を求め合った。



「なんで泣くの……?」


彼の動きが止まり、頬や目じりにその涙を拭うような優しいキスをしてくれた。

それから、わたしの顔を上からじっと覗き込む。

『どうした?』って表情で。



「だって……」


「ん?」


いつものように優しく聞き返してくれる。


「だって……。部屋入るなりいきなりやねんもーん! なんの会話もなく……いきなりやねんもん」


『昔の恋を思い出していた』

……なんて言えなかった。



はぁ……とため息をついてうなだれる彼。


「たしかに……がっつきすぎました。ごめん」


そう言って、わたしの上から体を移動させると、ベッドから降りて立ち上がった。


彼が1年半ぶりに海外赴任先から帰国したのは、今日の夕方だった。

わたし達は彼が予約したホテルの一室で久しぶりの再会をした。

感動の再会もつかの間、部屋に入るなりいきなりベッドに押し倒されたのだ。


もぉ……。

ムードもなんもないよぉ。

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