*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
わかってる。
もう、子供じゃない。
今はもう、あんな風に何もしなくてもただそばにいるだけでドキドキするような恋愛をしているわけじゃない。
ただまっすぐに好きな人のことばかり考えて、不器用で一生懸命だったあの頃。
制服姿のわたしがふと頭をよぎり、そして消えた。
ゆっくりと体を起こす。
脱がされかけていた下着を元の位置にもどしブラウスのボタンを1つずつ留めていく。
それから、床に無造作に投げ出されていた彼のスーツのジャケットとネクタイを拾うと、クローゼットの中のハンガーに掛けた。
「千春……おいで」
声のする方へ視線を向けると、彼は腰高の窓の縁に座り、外の景色を眺めていた。
わたしもそのそばに行き、立ったまま外を眺めた。
32階の部屋からは、街の灯りが見下ろせた。
車のテールランプがまるで光の道を作っているようだった。
季節はちょうど梅雨時で、今日も朝から雨が降っている。
窓には水滴がついていて、その小さな粒々が外の灯りを反射させていた。
そう言えば……
あの日もこんな風に雨が降っていたな……。
もう、子供じゃない。
今はもう、あんな風に何もしなくてもただそばにいるだけでドキドキするような恋愛をしているわけじゃない。
ただまっすぐに好きな人のことばかり考えて、不器用で一生懸命だったあの頃。
制服姿のわたしがふと頭をよぎり、そして消えた。
ゆっくりと体を起こす。
脱がされかけていた下着を元の位置にもどしブラウスのボタンを1つずつ留めていく。
それから、床に無造作に投げ出されていた彼のスーツのジャケットとネクタイを拾うと、クローゼットの中のハンガーに掛けた。
「千春……おいで」
声のする方へ視線を向けると、彼は腰高の窓の縁に座り、外の景色を眺めていた。
わたしもそのそばに行き、立ったまま外を眺めた。
32階の部屋からは、街の灯りが見下ろせた。
車のテールランプがまるで光の道を作っているようだった。
季節はちょうど梅雨時で、今日も朝から雨が降っている。
窓には水滴がついていて、その小さな粒々が外の灯りを反射させていた。
そう言えば……
あの日もこんな風に雨が降っていたな……。