*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・また…過去

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――――……


春休みも終わりに近づいた頃。


その日は朝から雨が降っていた。

わたしはアカネちゃんと大学の入学式で着るスーツを探しに、街に繰り出していた。



「ちぃちゃん……」


とあるショップで、声を掛けられた。


「ユカリちゃんっ!」


久しぶりの再会がうれしくて、飛び跳ねるように彼女に近づいていった。

一方、ユカリちゃんはそんなわたしの様子に、なぜか戸惑っているような表情を見せていた。


わたし達はお互いの近況を報告し合った。


ずっと気になっていたことを思い切って聞いてみることにした。

できるだけ自然に、あくまでも“友達”として気になっているんだという言い方で。


「ユカリちゃん。シィ君、大学……合格したん?」


ユカリちゃんは一瞬目を丸くして驚いたような表情をしていた。


「ちぃちゃん……ナオと連絡取ってないの?」


「え? うん」


当たり前だよ。

わたしがシィ君と連絡取る必要なんてないもん。



ユカリちゃんは、しばらく考え込んで、眉間にシワを寄せながら、独り言のようにポツリとつぶやいた。


「あの……バカ……」


「え?」
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