*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・ホットココアと恋バナ

「ううううう……さみっ……。なんやねん、この寒さはっ!」


部活を終えてグラウンドから部室へと戻る途中


「あ。オレ、コーヒー買っていくわ。先、戻っといて」


オレはサッカー部の仲間と別れると、自販機の前で立ち止まった。

ジャージのポケットの中の小銭を探っていると、後ろから手が伸びてきて、誰かが先に小銭を入れた。


――チャリンチャリン


「お疲れ」


その声に振り向くと、ヤマジがすぐ横に立っていた。


「おう。お疲れ。練習?」


「うん」


ヤマジは、少しかがんで自販機の口からホットココアを取り出す。

オレも続けて、小銭を入れてボタンを押す。


「どうなん、最近? バンドの方、良い感じなん?」


ヤマジは中学の頃からバンドを組んでいて、高校に入ってからはかなり本格的にやり始めた。


「うん。まぁ……ね」


ヤマジはその場でココアの缶を開けて飲み始めた。

本当は缶コーヒーをカイロ代わりにして、部室まで持って行くつもりだったんだけど、オレもそのまま付き合うことにした。
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