*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
吐息さえ感じられるほど近くにいる彼を意識してしまい、今度は逆に目を逸らすことができない。

だけど、それでもめいいっぱい抵抗してみた。


「……なんで……わたしにキスしたかったん?」


震える声でそう言った瞬間、あっという間に引き寄せられたと思ったら、彼の胸の中にすっぽり納まっていた。


「オレ……今、いっぱいいっぱいやねんけど……。これでわかってよ」


シィ君は腕に力を込めてわたしを強く抱きしめた。

シィ君の鼓動と体温を感じる。

このドキドキはわたしのものなのか、彼のものなのか、それすらわからないほど、2人の体が密着していた。


ホントはもう、何も言われなくても感じていた。

今日ここに呼び出された理由。

ユカリちゃんのあの言葉。

今抱きしめられている訳も……。


だけど、ちゃんと言葉で言ってよ。


「……わかんない」


胸の中から顔を上げ、彼を見つめた。

自然と涙腺が緩んで目が潤んでしまう。

途端にシィ君の顔が赤くなったような気がした。


すると、シィ君はわたしの頭を抱え込んで、そのまま彼の胸にまた顔を埋めさせた。

そして、顎をわたしの頭に乗せ、髪を撫でながら呟いた。







「あかん……



もう……めっちゃ好き」


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