*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「もぉー……」


彼の唇が離れたとたん、真っ赤になって、文句を言ってみた。

だけどもう、甘いキスで骨抜きにされていて、とても抵抗なんてできそうにない。


彼はそんな言葉には、耳も貸さない様子で、慣れた手つきでさっき留め直したばかりのブラウスのボタンに手をかける。

そして1つずつゆっくりはずしながら、話しかけてくる。


「これから、忙しくなるなぁ……」


「え?」


「千春の親にも挨拶しにいかなあかんし」


「あ……うん」


そっか。

そういう段取りが色々あるんだよね。

きっとこれから。


「けど……。その前に……」


「え?」


その前に?

なんだろ……?


彼はわたしの顔をじっと覗きこんで次の言葉を言った。


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