*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・瞬きもしないで

その日は……

もう3月も終わりに近づいているというのに、季節外れの寒波が訪れ、粉雪がチラチラ舞っていた。


今日は終業式。

このクラスともお別れだ。

1年間お世話になった教室を去る前に、もう一度中庭を見ておきたい。

そう思って、窓辺に近づいた。



コロちゃんだ……。

コロちゃんがいた。


彼はこの寒空の下、たった一人でベンチに座っていた。

紺色のダッフルコートに、手作り風のベージュのマフラーをぐるぐる巻いて……

耳には、いつものヘッドフォンをつけていた。


今日、ここにいるってことは、3年生じゃなかったのか。

3年生だったらもう卒業してるはずだもん。


それにしても。

1人で何やってんだろ……?

寒くないのかな……。

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