*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「えっ? ごめんなさい! 席、決まってんの?」


「……プっ。黒板に、貼ってるよ」


「ええっ! あ、ほんまや! がーん……ごめんね」


慌てて荷物をまとめて席を立ち、黒板に張り出された座席シートを確認する。


うう……信じらんない……。

かなり恥ずかしいことに、わたしの本当の席は、さっき間違った席の1つ後ろだった。


なんとなくバツが悪くて、下を向いて自分の席に向かった。

通り過ぎる途中でペコリと頭を下げると、さっきの女の子は、またクスクス笑っていた。


うう……はずかしいよぉ。

神様はわたしに恨みでもあるの?



席につくと、すぐに彼女はくるりと後ろを振り返り、話しかけてきた。


「ハイ。忘れ物」


「ああっ! ごめん……ありがと」


もう、もう、もう!

何やってんの、わたしってば!

慌てて荷物をまとめたせいで、ボールペンを1本、彼女の席に置き忘れていたらしい。


ああ……。

絶対、ドジな女だって思われてるよなぁ……。

あ、なんか泣きたくなってきた。
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