*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・オレの新学期

よっこらせっ……

――て、オレはオヤジか!


なんて、ガラにもなく自分につっこんでみる。


今オレは“15枚×クラスの人数分”のプリント用紙を抱えながら廊下を歩いている。


職員室に入ると、担任の小林恵津子(コバヤシ・エツコ)先生(通称:エッちゃん、推定:26歳、彼氏無し)の席にドサッと両手で抱えていたそれを置いた。

やっと手が解放された。


「ごめんねー。香椎君、大変やったでしょー?」


エッちゃんは、座ったままクルリとイスを回転させる。

両手を顔の前に合わせて、いかにも申し訳なさそうな表情を作り、上目遣いでそう言った。


うーん……やるな。

エツコめ。

そうやって、いったい何人の男におねだりしてきたのだ?



「全っ然、いーっすよ」


オレも得意の王子スマイル。

って、張り合ってどうする。


内心どう思っていようが、こういう場面で人当たり良くしてしまうのは、きっと生まれつきの性分だ。


「ほんと、香椎君がクラス委員になってくれて良かったわー」


ははっ……。

つか、それはアンタが半ば強制的に決めたんでしょうが。

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