*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
――え?

何?

何なの?


オレは口が開いたままなのも忘れて、彼女の方を見ていた。

な……何やねん。


「コッ……」


こ?

彼女は何が言いたいのか、オレに向かって「コッ……」と繰り返す。



「コッ…………………………」


まただ。

ああああ。

もう、ほんまに、何やねんて!

言いたいことあるんやったら、早く言ってくれ―――――!


もう、こっちから何か言ってやろうとしたその時。


「こんにちは」


彼女はニヘラッて感じで笑ってそう言った。

隣でテーブルに片肘ついていたケンジがズリって滑った。


「ハイ。こんにちは」


オレはと言えば、そう返すのが精一杯だった。

なんというか、どう対処すればいいのかわからなかったのだ。



ところがこのやり取りを見守っていたみんなは、一斉に笑い出した。


なっ……なんでオレまで笑いもんやねん。

くそぉ……。
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