*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~

・桜風

「ちぃちゃん。食堂行こ?」


翌日、ユカリちゃんからまた誘われた。


「え。今日も……? あのメンバーで?」


「うん。そうやで。あの子らおもしろいやろ?」


ユカリちゃんは、わたしの胸の内なんて気にする様子もなく、ニコニコと微笑んでいる。

せっかく誘ってくれているけど、迷っていた。

みんなとの会話には、どうにも馴染めそうもない。


やっぱやめておこうかな。

そう思って断ろうとした時……

なぜか、ふいにコロちゃんの顔が浮かんだ。


トックン……トックン……トックン……って、


胸の辺りに生まれたこの甘酸っぱい感情には、まだ自分でも気付けないでいた。


「ちぃちゃん……? もう行くよー?」

少しうつむいて、お弁当袋をギュと握った。


それから……

「はぁい。待ってー」

ユカリちゃんの後を追った。

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