*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「プッ……ゆでだこ」


クスッて笑って、ヤマジ君が言った。


その一言でみんなが爆笑。


「も―――! ちぃちゃん、いじりがいあるわー!」


このメンバー内での、わたしのキャラは定着しつつある。

いつもだいたいこんな感じでみんなから、からかわれてしまう。




「あ。そや。ユウ?」


「んー?」


「田舎から野菜がいっぱい届いてんねんやんか。オカンが、『良かったら取りに来て』、やって」


「ん。わかった。バイトの帰りに、ナオんち寄るわ」



シィ君はユカリちゃんのことを“ユウ”って呼ぶ。

ユカリちゃんはシィ君のことを“ナオ”って呼ぶ。


“ユウ”と“ナオ”。

これは、この2人の間だけの特別な呼び方だ。

幼稚園からの幼馴染だと言っていた。

他の友達とは区別のあるこの呼び方が、2人の親密さを物語っているような気がした。

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