*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「ぶっ……。ブカブカ……」


「そんなに笑わなくても……」


シィ君の体操服に着替えて更衣室から出てきたわたしを見るなり、ユカリちゃんは笑った。

自分でも、ヘンなのはわかってる。

シィ君とわたしの身長差は25センチ以上はあると思う。

ハーフパンツは7分丈ぐらいで、Tシャツの肩は下がり、裾は異常に長い。

オマエはカンチガイのラッパーか? ってぐらい、なんとも不恰好な姿になってしまった。


「ううん。可愛いよ」


ユカリちゃんは、ヨシヨシって慰めてくれた。

優しいなぁ……ユカリちゃん。


「プッ」


――て、笑ってるし!

ガーン。




時間よりちょっと遅れてグラウンドに到着したせいで、やたらとみんなの注目を集めてしまった。

みんな「どうしたんー?」って口々に言って笑ってる。

先生までもが……。

もう、ヤダ……。
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