*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「好きなん?」


声が出なかった。

心臓が飛び出そうなほど驚いて、口を開けたまま、ただユカリちゃんを見つめていた。


わたしが否定しないから、ユカリちゃんは勝手に「YES」だと判断したようだ。


「ナオ、彼女いないし、頑張りや? わたし、応援するするから!」


「頑張るって……。何を頑張ったらいいのか、わからへんねん」


「うん。わかる。わたしも好きな人できたらいつもそうやもん」



え?

ユカリちゃんが?

わたしは隣にいるユカリちゃんをマジマジと見つめた。

ちょっと信じられないような感じだった。

わたしには、いつもユカリちゃんはキラキラ輝いていて眩しいほどだった。

自信持って、前を向いて背筋をピンって伸ばして立ってる。

ユカリちゃんのイメージはそんな感じだ。



そっかぁ。

ユカリちゃんも好きな人ができると同じなのかぁ。

好きな人ができた途端、誰もがほんのちょっとの期待と背中合わせの不安を抱えるのかな。

その不安は自信を無くさせて、足がすくむ。


それでもみんな、勇気を出して前に進んでるんだよね。

何かを掴みたいなら、それ相応の努力が必要なんだ。


ユカリちゃんの一言は、わたしにほんのちょっと勇気をくれた。
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