*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
シィ君は一瞬、ニヤリと微笑んだかと思ったら

「おりゃ!」

って掛け声とともに、自分のお皿を持ち上げると、同じくチャーハンを食べていたわたしのお皿に何かを入れ始めた。

その行動に呆気にとられているうちに、わたしのお皿はグリーンピースまみれになってしまった。


「食っとけ! 全部食べな大っきなられへんで」


「はぁ? 何すんのよ-―――!」


手にしていたスプーンを握り締め、顔をプーっと膨らませて、精一杯の抗議をした。

というか、わたしだって、グリーンピースは苦手なんだよぉ。

苦手だからこそ実はさっきからグリーンピースを集中的に食べていたのだ。
(嫌いなものを先に片付けて、好きなものは最後に残しておくタイプ)

やっと少なくなったと思ったら、倍増してるし……。

何なの、これ。

軽くいじめられてる?


もう一度、ジロリとシィ君を睨んでやった。

だけどシィ君は“してやったり”って感じの満足げな顔で、何事もなかったかのように、またチャーハンを食べ始めた。

ムカツクー!


でも……。

グリーンピースが食べられないなんて子供みたい。

さっきから、やたらと少しずつチャーハンを口にしてるなぁって、思ってたんだけど……グリーンピースをよけてたのか。

なんか笑える。


「プッ……」


「何がおかしいねん?」


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