真ん中の君へ
1.1番真ん中
「ねえ」
静かな声量で、コソっと発する声が聞こえ、そちらの方を向く。
その声は、私の方を向いて右手を口の近くに当てている隣の席である、
黒崎啓(くろさき けい)
であった。
「あのさ、今どこのページやってる?」
「えっと、65ページ」
「どうも!」
ニカッと笑って、体制を元に戻すカレ。
びっくりした!
はぁー、と心の中で自分のダメさにため息をついた。
今のはもっと話せる絶交なチャンスだったというのに、“65ページ”という一言。
自分の馬鹿さ加減に何度呆れたことか…