俺様副社長に捕まりました。
「もしもし・・・小野寺ですお疲れ様です。」
電話の相手は所長の轟さんだった。
私は所長に時間の延長の事を連絡した。
『そうそう小野寺さんにちょうど電話をしようと思っていたのよ』
「何かありました?」
『実はね30分くらい前に水沢さんていう男性から電話があって、小野寺さんはいらっしゃいますか?
って聞かれたの』
「えっ!」
水沢という名前を聞いた途端、全身に緊張が走った。
どうして?
どこで私の事を知ったの?
私がここで働いていることは誰にも教えてない。
親友の未来にも・・・・なぜ?
そんな私の事など何も知らない所長は淡々と話を続けた。
『でも、急に教えて欲しいと言われてもと思ってどういったご関係ですか?って聞いたら
いとこだって言うもんだから・・・働いてますって言っちゃったんだけど・・・よかったかしら。
勿論あなたの担当しているお宅の住所とかは言わなかったけど・・・・電話切ったあとに
言ってよかったかしらって急に不安になってね・・・』
「・・・わ・・分かりました。すみませんご迷惑おかけして」
『私はいいのよ。・・・で・・水沢さんって本当に小野寺さんのいとこなの?』
ここで違いますなんて言ったら所長ひっくりかえるだろうな・・・・
轟所長と竹原さんは親友だっていってるけど性格は真逆。
それこそ私が最初にイメージしていた家政婦紹介所の所長のイメージに限りなく
近く隣のおばちゃん的な感じの人。
きっと純粋で疑うということをあまりしないから・・・・話しちゃったんだろう。
「・・・はい・・そうです。すみません」
って本当はいとこでも何でもないし、いま私の心臓は破裂しそうなほどバクバクしていた。
『ならよかったわ。時間延長の件は了解しました。』
そういって電話は・・・・切れた。

だけど正直時間延長どころじゃない。
どうしよう・・・
・・・・嘘でしょ?
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