俺様副社長に捕まりました。
そして里沙さんは自分の事を話し始めた。
「私の父はとある企業の役員でね。だから私は・・・・どちらかというと裕福な家庭に育ったの。
何不自由なく育ててもらった。高校はお嬢様学校って言われる
私立の女子高、大学も・・・旦那は中学の同級生でね、高2の時偶然再会して・・・それから
付き合うようになったの。もちろん親には内緒でね。・・・・妊娠するまでばれなかったんだから」
少し得意げに言うのは、今とても幸せだから・・・なのだろう。
「でもさ~~親の力を借りずに自力で就職活動をしていい会社に入ったのに妊娠。
もう親の怒りは凄かったのよ。何が悲しかったかってお腹の子を堕ろせっていったのよ。
しかも私の旦那になる人は親が決めるって・・・・もう信じられなかった。
両親は彼を家に呼んで、私を身の丈にあった人と結婚させるから別れろって」
まるでドラマのような話だ。
「それで?」
「彼は、私と別れるって言ったの」
「え?」
「これって・・・・誰かさんと似てない?」
・・・・それって私?
「彼ね・・・俺といたって幸せになんかなれないって。私の両親の言うように
私に見合った人と一緒になれって・・そう言ったのよ!許せる?
こんなに好きなのに・・・私の事…私のお腹の子ともさよならしようとしたのよ」
・・・・確かに自分が同じ立場なら許せない
里沙はお茶を飲みながら私をじっと見た。そして・・・・
「許せないよね・・・・でも桃花さんもあの時のうちの旦那と同じ様なことしてるんじゃないかなって
思ったの」
「・・・・・・」
返す言葉が出てこなかった。
「私に見合った人ってなに?って思ったの。父親のように地位のある人間と結婚すれば
私が幸せになれるとでも思ったんだろうね。でも私に言わせれば
ふざけんなよ!好きだから一緒にいたし、大好きな彼の子がお腹にいるって知った時
のうれしさとか・・・・それが幸せなんじゃないのって。だから・・・・あったまにきて

親と大喧嘩して親子の縁を切っても彼と一緒になるって家を出て彼の家に押しかけたのよ。
それでね、私の幸せはここにあるのだから絶対にわかれないって・・・・だからあなたを探してる水沢さんも
きっとそういう思いであなたを必死になって探しているのかもしれない」

「里沙さん・・・・」
「結婚して・・・こうやって子供が3人いるってこと私の親は知っているのかどうか知らないけど
私は胸をはって幸せだって言える。私の選択は間違ってないって言える。もしあのまま
親の言いなりになってたら私は幸せにはなれなかったと思うの」
話しがちょうど終わった時だった
奥の部屋で寝ていた亜美と真美ちゃんが同時に泣き出した。
里沙さんは重い腰を上げるように立ち上がるともう一度私を見た。
「桃花さんも彼が好きだから…彼の幸せを願っての決断だったかもしれないけど
 ・・・・逃げないでもう一度彼と向き合うべきだと私は思うよ」
里沙さんはにこっと笑うと双子ちゃんたちの寝ている部屋へと行った。

私は・・・・
しばらくその場から動けなかった。

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