俺様副社長に捕まりました。
「桃花さん・・・・」
どう返事したらよいのかわからず苦笑いをすると
「あの時の俺も今の桃花さんと全く一緒だったよ。」
拓海さんはその頃の自分を思い出すかのようにゆっくりと視線を里沙さんに
向けた。里沙さんも拓海さんの笑顔に答えるように笑顔を返した。
「里沙の実家ってさすごい豪邸でね・・・今の見た目では想像できないけど
お嬢様だったんだよね~・・・・ってイッテ~」
どうやら想像できないって言葉に里沙さんが反応して足を蹴った様で
何だかおかしくて笑いを押し殺した。
「・・・・妊娠がわかった時は本当にうれしかったんだ。だけど彼女の両親からの
言葉には絶句した。ご両親はどうしても一緒にせたくないんだなーって
言うのが伝わってね。ご両親の彼女を思う気持ちもわかるけどその基準が
自分の育った環境と同等じゃないと認めないって言われているようで
僕って論外なんだって…そう思ったんだ。だからね彼女を必ず幸せにしますって言わせて
くれないっていうかね・・・どんなに彼女を愛して
どれだけお腹の子の誕生を心待ちにしててもね・・・それは叶わないんだ。
だったら今自分にできることは彼女のこの先の幸せ・・・僕じゃなくても
彼女が幸せになれるのならそうしてほしいって・・・それで一度は里沙と別れる
と決めたんだけどね・・・彼女の本当の幸せって本当の所は彼女自身にしかわからないんだよね。」
黙って聞いてた里沙さんは大きく頷いた。
「自己完結ほど嫌なものはないの。そんなのは単なる自己満足」
拓海さんは苦笑いを浮かべながら話を続けた。
「里沙の言う通りで自分の取った行動は単なる自己満足だった・・それを
教えてくれたのは里沙だったんだ。 彼女が縁を切るような形で僕のところに
来たことは申し訳ないって思うけど・・・それ以上に今こうやって家族5人で暮らせる事を凄く幸せだって感じてる。
桃花さんの好きな人もきっと幸せになりたくて君を探していると思うんだ。
・・・・・もう一度向き合ってみる価値は十分あるよ。経験者の僕たちが言ってるんだから
間違いない」
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