俺様副社長に捕まりました。
水沢さんに会えて嬉しい気持ちの方が大きかったのに
言いたいことだけ言って
私は彼に背を向けてしまった。
ひどい女

私はエレベーターを使わず階段を一気に駆け上がり3階の踊り場の壁に
もたれるとそのままズルズルとしゃがんだ。

「これで・・・終わった」
こんな自分勝手な私に水沢さんは幻滅したに決まってる。
でもあれが本音なんだもん仕方ないんだよ。
綺麗事ばかり並べたってそのうちぼろは出ちゃうし
私みたいな家政婦が(水沢さんの元家政婦だけど)
あんな会社のトップに立つような人と恋愛するなんてことがそもそも間違ってる。
最低な家政婦のまま嫌われちゃったほうが
水沢さんだって次に進める
これでいい
これでいいんだ・・・
私はこの先も庶民にやさしい家政婦として恋よりも
仕事に生きる!

そう思うのだけれど・・・気持ちに反して目から大粒の
涙がとめどもなく溢れ出る。
「・・・なんで・・・涙がでちゃうのよ~」
嫌われて当然なのに・・・
嫌いになってと欲しいと自分のダークな部分を見せつけたのに
涙が止まらない。
しゃがんだまま立ち上がれない。

その時だった
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