俺様副社長に捕まりました。
「そんなとこで泣いてんじゃねねーよ!」
水沢さんの言葉が階段の踊り場に響き渡った。

なんで?
どうしてまだいるのよ!
震える口元を手で隠しながら顔をあげると
眉間に皺を寄せた水沢さんが仁王立ちで私を見下ろしていた。
「少しでも人によく思われたいのはみんな同じなんだよ!
俺がお前のあんな言葉にぐらつくような男に見えるのか!
冗談じゃねーよ。あとな・・・家政婦って仕事を下等評価してんじゃねーよ!」
そういうと水沢さんは私の手を掴んだ。
「?!」
驚く私を無視するかのように私を無理やり立たせた。
「行くぞ!」
「え?行くって?」
水沢さんと目が合うと彼がクスッと笑った
なぜこんな時に笑えるのか訳が分からず反応に困っっていると
ポケットからタオルハンカチが差し出された
「な・・なんで?」
「目と鼻から大量の水出してんじゃねーよ。これで拭け。
それにまだ泣くのは早いんだよ」
自分の顔がすごいことになっているなんて気づいてなくて
私は慌てて受け取ったタオルハンカチで目と・・・・鼻はさすがに
思いとどまったが・・・ビジュアル的にまずいと思い
心の中で洗って返すと決めて私はハンカチタオルを使わせてもらった。

だけど・・・・なんで?こうなってるの?
私は嫌われるのを覚悟して本音をぶつけて終わったつもりだったのに

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