俺様副社長に捕まりました。
だがそんな空気を打ち消すように水沢さんが二人の間に近づいた。
「どういう事ってさっきも言ったように僕が結婚を考えている人を
紹介するんですよ」
そして水沢さんは私のに視線を合わすとこっちにおいでと手招きした。
ちょうど里沙さんの影に隠れるように立っていたため
私が水沢さんの横に立つと安藤専務がえっ？と驚いた。
「君は・・・桐山の秘書だった・・・小野寺君か？」
「安藤専務ご無沙汰しております」
私は姿勢を正し一礼した。
だが安藤専務はいまいちこの状況が理解できずにいた。
「彼女・・・小野寺は今、家政婦をしているんです」
「家政婦？」
驚くのも無理はない。
秘書という華々しい仕事をしていたのに会社をやめて異業種である家政婦に転職。
普通に驚くだろう。
だけど私はこの仕事が大好きだし自分の仕事に誇りを持っている。
「はい。私今家政婦の仕事をしているんです。凄くやりがいのある仕事です。
それで今は・・・・こちらの・・・井上さんのお宅で家政婦をしているんです」
明るく言ったものの安藤専務の厳しい表情に変わりはなかった。
何か言いたいことがあったのだろう安藤専務が口を開きかけたその時
「桃さん・・・・私は桃さんと彼氏さんと食事をするからと言うので来たのであって
こんなことなら帰らせてもらいます。それと・・・・・今後のことも考えさせてもらいます」
感情のない・・いや怒りのこもった声だった。
こうなることは想定内だったけど・・・・里沙さんの言葉がぐさりときた。
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