俺様副社長に捕まりました。
「え?・・・・嘘・・・・」
パーティー会場の入口で私はまたしても足が止まった。

なんとこのパーティー
山岡物産創立50周年記念パーティーだったからだ。

そういえば・・・私が秘書課に在籍していた頃そんな話が出ていたな・・・と
今頃になって思い出した。
たしか取引先メインと社員と2つに分けて行われる事になっており
今回はというと多くの取引先の方と山岡物産の課長以上が出席する
パーティーの様だった。
だけどその規模は半端なく会場に入った途端、山岡物産が大企業だということを
思い知らされた。
「大丈夫か?」
足を止めた私に水沢さんが心配そうに声をかけた。
「あっ・・・大丈夫とは正直言い切れないですね。規模も大きいですし、
きっと秘書課の人間もいるはずですから・・・・」

私が水沢副社長と一緒にいるなんて秘書課の人たちが見たら
どう思うか・・・・
益々不安になる。
しかも秘書課といえば裕人がいる・・・・
気持ちの上では未練などさらさらないけど顔を合わせたいとは思わない。
できることなら会いたくない。
でも今はそんなことよりも会長へのあいさつの方が重要だった。

「秘書課の人間の事も会長のこともうまくいくよう手はうってある
桃は俺の隣で堂々としていればいいい・・・・・わかった?」
ここまではっきりと断言されたらもう彼に委ねたほうがいいのかもしれない。
私は水沢さんと組んだ腕に力を入れた。
そして水沢さんの方を見上げわかりましたと返事をした。
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