俺様副社長に捕まりました。

「・・・私の目の前にいる人・・・」
今度は水沢さんの目が見開いた。
「私が一番サポートしたいのは水沢さんなんです。家政婦だから誰かのお宅で働くのが
当たり前だってちょっと前まで思ってたけど・・・それは違うんだって気づいたの。
誰かの役に立つのだったら私は大好きな人の役に立ちたい。私を必要としている人の
傍にいたいの」
「桃・・・じゃあ・・・」
私は姿勢を正し一度深呼吸をした。
「水沢さんと結婚したいです」

「・・・・・・」
一瞬時が止まったように水沢さんは瞬きもせず私をじっと見つめていたが
徐々に目を細め口角が上がった。
そして視線を下におろし私の左手を取ると口元まで上げ薬指にキスをした。
驚く私を嬉しそうに見つめると
ジュエリーケースから指輪を少し乱暴に取ると私の左薬指に指輪をゆっくりとはめた。
そして視線を私に向けるとフッと笑った。
「俺に捕まったら・・・・一生他の人の世話はできないぞ。いいのか？」
「うん・・・だってこの世で貴方の事をよくわかっている家政婦は私だけだもん」
すると握っていた左手をぐっと自分の方に引き寄せると私を抱きしめた
「ばか・・・もう桃は俺の家政婦なんかじゃない」
「え？」
顔を上げ水沢さんを見つめると、優しい眼差しがあった。
「桃は俺の・・・・奥さんになるんだろ？」
胸の奥に甘い痛みが走った。
最初はこの人を好きになっちゃいけない・・・・
自分とは住む世界が違う・・・そう思っていた。
だけど今は違う
私にしかできないこと・・・たくさん見つけたから・・・
もう迷いはないって断言できる。