俺様副社長に捕まりました。
「へ~~。今はこれにハマってんの?」
私のカゴの中を覗き込みながら何を借りてるのかちゃっかりチェックする。毎回ね
「うん。これ面白いのよ~毎回出てくるシリアルキラーが凄いのよ。もう本当にムカつくんだけど
それを解決するFBIがかっこいいの。ストレス解消!」
「シリアルキラーってなに?」
「殺人を目的にした犯罪者。連続殺人犯とか?殺人鬼」
「・・・・お前そんなの好きなのか?」
「何が」
「そのシリアル」
「ちょっと短縮しすぎですよ水沢さん。シリアルキラーだから。それとシリアルキラーは好きじゃありません。
 捜査するFBIがかっこいいから見てるの」
「ふ~~ん」
ふ~~んって何?そのリアクション。
毎回冷めたリアクションにため息が出そうになるのだが
「それって今何巻あんの?」
「今シーズン5まである」
「じゃ~俺シーズン1から借りるわ」

そう・・・冷めたリアクションしているくせに結局借りちゃうんだよね。
そういうとこが憎めない。
そしてお互いDVDを借りるとこれまた約束してないけど
一緒にご飯なんかを食べに行く。
そしてこういう流れになることを私は楽しみにしていたりもする。

「で?どうなんだよ仕事。」
「うん。1ヶ月たったけど順調かな~お客と顔を合わせるわけじゃないから楽だしね」
「ふ~~ん」
気にしてるのか単なる好奇心なのかいまいちわからない。
お約束事で仕事に関することを他人に話すなって言われてるけど
お客の名前を言ってるわけじゃないし、水沢さんは私が失恋して会社に居づらくなって
辞めたことを知っているので彼にだけは話をしているのだ。
「その人和食が大好きみたいで、和食中心の献立にしてんだけど・・・・」
口を尖らせる私に水沢さんが反応する。
「なんだよ。なんか気になることでもあんの?」
「ん?・・・気になるって言いうか・・・その人ねすっごいイケメンなの。
あれだけのイケメンだったら女の人取っ替え引っ替えで
毎日デートで夕食なんかー」
ブフッ!ゴホッ・・・
「水沢さん?どうしたの?大丈夫」
急に水沢さんが飲んでた水を吹き出しそうになったみたいでおしぼりを口に当てた
顔はそのせいか真っ赤になってて・・・
頷きながら大丈夫って言ってるみたいだけど・・・

「ご・・ごめん大丈夫・・・あ~~ビビった。で?」
吹き出したくせに続きを聞きたいんだ・・・
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