俺様副社長に捕まりました。
「ここ・・・どこですか?」
東京に帰るつもりが京都で途中下車
観光でもするのかと思いきやタクシーに乗り込むと店らしき名前を運転手に告げた。
そして着いた場所は敷居の高そうな料亭?それとも旅館?
手入れの行き届いた日本庭園を見ただけで私みたい一般人は入ることもできないところだと
すぐにわかった。
でも一体何のためにこんなとこに私を同行させるのか全くわからなかった。

「昔馴染みのところだ。さぁ行くぞ」

水沢さんの後ろを追いかけるようについていくが
パンプスで石畳の上を歩くとどうしても慎重になってしまう。

日本庭園の中を歩いていくと風情のある建物があった。
そして入口の引き戸がタイミングよく開き、中から和服のとても似合う品のいい
女性が現れた。
「おこしやす。尊はんおひさしぶりどすな」
「女将急で悪かったな」
・・・・さすがセレブ。
こんな見るからに格式高そうなところで顔を見ただけで誰だかわかるって
いうのは相当常連じゃなきゃ有り得ない。
しかも声のトーンが私と違うんですが?それにさっきまでの無表情から一変して
めっちゃ笑顔だし・・・
私は女将と水沢さんの会話を一歩離れたところで見ていた。
だが、女将と目があったとたん女将が水沢さんに近づき肩を
バシバシ叩いた。
「もう~尊はん。やっとええ人連れてきはったんどすな~。しかもえらいべっぴんさん
やないどすか?」
「女将余計なこと言わんでいいから早く部屋へ案内してくれ」
水沢さんの顔がちょうど影になってどんな表情かわからないが耳がほんのり赤くなってるのだけは
わかった。
そして女将さんはというともう一度私を見て会釈しながら微笑んだ。
ええ人でもなんでもないんだけどな~~完全に勘違いされてもな~~
っていうか水沢さん・・・そこは余計なことじゃなく。
こいつはそんなんじゃないタダの家政婦だ!っていうんじゃないでしょうか・・・・
後で女将にちゃんと訂正しとかないと・・・
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