俺様副社長に捕まりました。

「ママ～～ただいま～」
いつもの様に輝くんの元気な声で帰宅した。
するとお母さんの里沙さんが唇に人差し指を当てながら
玄関までやって来た。
「輝くんおかえり～～。でも今日はちょっと静かにできるかな～～」
小声で話す里沙さんにどうしたのかと尋ねると
双子のお姉ちゃんの方の亜美ちゃんの体調が良くないというのだ
家政婦を頼むきっかけも実は体が弱い亜美ちゃんのことがあったからなのだ。
「亜美ちゃん今日、体調悪いんですか？」
里沙さんは申し訳なさそうに頷いた。
「また熱が出てね・・・今は様子見てるけど・・・旦那、いま大きなプロジェクトを抱えているから帰りも遅いの。
桃花さんには急で悪いんだけど・・・・いいかな～」
「大丈夫ですよ」
特に予定もないし
ひとりでいると余計なことばかり考えてしまうから私にはちょうど良かった。
私の返事に里沙さんは深く頭を下げた。

「熱がぐんと上がれば救急外来に行くんだけど・・・もしそうなったら
　子供たちのことお願いします。今は少し落ち着いてるから
とりあえず・・・・お茶でも飲みましょうか」
里沙さんがお茶を用意してくれている間に私は轟家政婦紹介所に
時間延長の連絡をいれることにした。