おとん
姉貴
姉貴とは俺と5つ離れている。俺が小学校に入ったときには小学6年生だった。

姉貴は中学に入り、兄貴の影響もあって世間的に言う不良になった。

家に帰ってきても部屋に閉じこもり外では万引きや窃盗などを繰り返したと言う。

そんな姉貴の印象深い、おとんとのエピソードは姉貴が中学3年生の夏休みのことだ。

家にも帰らず、フラフラ、連絡があるかと思えば警察沙汰。家庭裁判所に呼び出しがかかり、次に問題を起こせば鑑別所行きは免れないと言うときのことだった。

姉貴はおかんと家庭裁判所から帰宅し、そしておとんも帰ってきた。

普段は無口で優しいオーラのおとんが小さい俺には鬼に見えた。

「何やっとんじゃ!!世間様に迷惑かける娘に育てた覚えはないぞ!!若いから多少の悪さは許すわい。そこ座れ!頭冷やさんかい!!」

近所に響き渡るかのような怒鳴り声だった。

姉貴は泣きじゃくった。おとんに対し、

「ありがとう。」

そう何度も言いながら。姉貴は道を正すために叱ってくれたおとんが嬉しかった、と後々話してくれた。

家族にとって、おとんの偉大さを知るひとつエピソードだ。
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