死にに行く。ナイフと馬人間と

「あれか?あの時のタイ人か?」


僕が聞くと馬人間は歯茎を出して笑ったように見えた。


「沢山の悪い事をしてきてるからな。やっと分かったか。俺はお前を恨んでる。」


僕は、そりゃないだろうと思い言い返した。


「あれは、正当防衛だよ。先にナイフを出したのはお前だろう。」


「そうだ。しかし、俺は脅すくらいの気持ちだったのにお前は固い棒で俺の頭を叩いた。」


確かに、あの時僕は、剣道の要領で思い切り踏み込みタイ人の頭を叩いた。


結果、タイ人は頭から倒れて頭から血を流したし、僕はそれでも辞めずにタイ人を何度か蹴った。



騒ぎに気付いた連中が僕を止めてタイ人を病院に連れていった。


その後タイ人は仕事場から居なくなったのだ。



しかし、今考えてもあれはやるかやられるかだったのだ。


僕の中に後悔はなかった。


「残念ながら謝る気持ちはないね。あれが原因で死んだわけではないし、あの時ああしなかったら俺が死んでたか怪我をしてたよ。」


「なるほど、死んでたか怪我をしそうだったから必死だったんだな。あの時特にお前に恨みがあったのでは無くて日本人なら誰でも良かった。

日本人は、俺達を怒ってばかりだったからな。

しかし、死んでたか怪我をしないためか。」


馬人間はヒヒヒーンと笑ったようだ。


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