死にに行く。ナイフと馬人間と
「そんなに必死に守った命をな。」
そう言うとまたヒヒヒーンと笑った。
確かに笑われても仕方なかった。
あの時若くて必死に守った命を今は簡単に投げ出そうとしてる。
僕も煙草に火をつけながらクスクス笑った。
「笑われても仕方ないな。」
「死ぬ時は死ぬ。生きる時は生きる。」
馬人間は悟ったように言うと立ち上がりゆっくり外に出ていった。
僕は、待てよと思いながら声に出そうとするが声が上手く出なかった。
薪の火がだいぶ小さくなっているのが見えた。
寝てしまったのか?
夢か……しかし、リアルな夢だった。
僕は薪を足すと火に近づき身体を暖めた。
ヒヒヒーンか……あの時必死に守った命をか……
一晩ここでゆっくり考えるかと思った。