君と僕等を、繋ぐ線。
「・・・・・・・・・・・・・・・何でそうなるんだよ」
畑田が、溜息と一緒に涙を一粒だけ落とした。
目に溜まった残りの涙は、鼻水と一緒に啜り上げ、一瞬オレを睨むと『シゴトに戻ります』と、『これ以上何を言っても無駄だ』と言わんばかりに、カバンを拾い上げると肩に掛ける畑田。
ドアノブに手をかけ、部屋を出て行こうとした畑田が、立ち止まりオレを見た。
「・・・・・・・・・・・・・・秋さんが叶えたかった『2人の夢』って何ですか??」
畑田は、2人の夢が叶えばオレが歌を歌うとでも思っているのだろうか。
2人の夢は叶わない。 秋はもういない。
「・・・・・・・・・・・・・・秋が書いた小説が映像化した時、オレが音楽を付ける事」
秋は死んだ。 もう、小説は生まれない。
オレの言葉に諦めた様子で、畑田は静かに部屋を出て行った。