君と僕等を、繋ぐ線。
『桜沢さん、秋さんとの対談の時の事覚えてるって言ってましたよね。 秋さん、対談で言ってたんですよ。 『ワタシはネットの力を信じてる』って。 桜沢さんも『オレも』って。 だからワタシも信じてみようと思って。
だってワタシは、ただの雑誌記者です。 映画製作会社にもテレビ局にも、知り合いはいてもコネなんかありません。 ワタシにはコレしか思いつきませんでした』
畑田は、オレに歌わせて手柄を立てたいだけなのかもしれない。
それでも畑田は、秋とオレの夢を本気で叶えようとしていた。
秋が喜ぶであろう、秋が1番納得するだろうやり方で。
畑田の気持ちが、素直に嬉しかった。
のに
「正確には『オタクとネットの力を信じてる』だったけどな」
畑田が相手だと、謎に悪態をつきたくなるのは何でだろう。
『そこ、敢ての割愛ですよ』
畑田は、こんなに捻くれたオレに負けじと返事をしてくるからだ。