君と僕等を、繋ぐ線。
「きーた村。 畑田は?? もう帰った??」
オレの同期、スポーツ部の里中は、時間があればこの前まで直属の後輩だった畑田さんの様子を、ちょくちょく見に来る。
畑田さんの事が可愛くて仕方ないらしい。
「さっき帰ったばっか」
「・・・・・・・・・・・・・ふーん?? なぁなぁ。 桜沢悠斗と畑田ってイイカンジなん?? そんな噂を小耳に挟んだんだけど」
里中は、可愛い後輩に変な虫がつくが嫌なのだろう。
てかコイツ、美人の嫁さん捕まえておいて、後輩の心配って何なんだ。
「まだ付き合うトコまで行ってないっぽいよ。 まぁ、今日も桜沢悠斗とゴハンの約束してるみたいでさ、さっき気合入れて髪の毛ぐるんぐるんに巻いてたよ。 バッハかと思ったし」
「桜沢悠斗も変わってるな。 バッハ連れて歩きたいとか」
「イイんじゃん。 音楽家同士。 話も合うんじゃん??」
「片方偽物じゃねぇか」
『クククッッ』畑田さんをネタに里中と笑う。 畑田さん、ゴメン。
「・・・・・・・・・・・・・イイのかよ。 北村は。 北村って、畑田の事ちょっと気に入ってただろ??」
里中の質問に目を丸くしてしまった。
何を言っているんだ、コイツ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・は??」
「だって、北村。 畑田のミスのフォローしてやったり、畑田の残業に付き合ったりしてたみたいじゃん」
イヤイヤイヤイヤ。 それは里中だってスポーツ部時代にやってたじゃねぇか。
「・・・・・・・・・・・・・・里中が菓子折り持って『くれぐれも宜しく』って言ったからだろうがよ」
「・・・・・・・・・・・・・・ホントにそんだけかよ。 で、そんな傷心の北村に朗報。 オレの嫁さんの友達紹介してやろうかと」
里中は、どうしてもオレを恋に破れた男に仕立て上げたいらしい。
軽くむかつく。 ・・・・・・・・・・・・・が
「カワイイ?? そのコ」
彼女は欲しいワケで。
「デパートの受付嬢」
「是非ヨロシク」
この線も、きっといつか繋がる。