君と僕等を、繋ぐ線。
秋が小説を書けなくなっても、オレの頭の中では音符が溢れては踊っていた。
秋とは正反対に、次々出来て行く作品。
この頃、秋のHPの書き込みには『頑張って下さい』『待ってます』等の応援メッセージと『秋はもう終わったな』『何を書いても駄作』等、心無い言葉も書き込まれていて
『期待にも応えられないし、辛辣な言葉に言い返す事も出来ない』と、普段あまり弱音をはかない秋が、心を痛めていた。
それでもオレに心配かけまいと、オレの前では極力明るく振舞う秋。
それが余計に痛々しくて。
何となく秋に申し訳なくて、秋と一緒に居る時に曲を作るのを辞めた。
どうしても忘れたくないメロディーが浮かぶと、トイレに行って、秋に聞こえないように小声でスマホに録音したり。
でも、そのオレの不自然な行動に、秋が気付かないワケがなかった。
「ワタシの前でシゴトしてくれなくなっちゃったね。 淋しいな。 気遣われると余計に悲しい」
秋に苦しそうな表情でそんな事を言われては、こそこそシゴトなんか出来るワケがなかった。
また、秋の傍で曲を作る。
依然、秋は小説を書く事が出来ない。
この頃、そんな秋に何を言えば良いのか分からなくて
『明日は書けるといいな』
と、毎回別れ際に声を掛けていた。
オレに出来る事なんか、これくれくらいしか思いつかなかったんだ。