君と僕等を、繋ぐ線。
歌を歌わなくなって、ボカロPになって
誰にも何も聞かれたくなくて、そんな気持ちを事務所も汲み取ってくれて、メディアからフェードアウトした。
ボカロでもそこそこ曲は売れたけれど
ボカロを聞く層は、ロックを聞く層に比べると明らかに狭い。
ボカロ界で売れたとしても、やっぱり『桜沢悠斗』としてロックを歌っていた頃に比べると、格段に売り上げが落ちた。
そんなオレを、事務所もレコード会社も良く思うわけもなく
『オマエには才能がある。 自分で歌わないのであれば、バンドのプロデュースをしろ。 桜沢悠斗プロデュースを前面に押し出せば絶対に売れる。 そろそろメディアにも少しずつ出ろ。 あれから3年経ったんだ。 そろそろ気持ちを立て直せ』
会社の命令に、反抗なんか出来なかった。
バンドのプロデュースを断ってしまえば、音楽を続ける場所がなくなってしまう。
歌えないオレは、本当は自分で歌いたかった曲を、その新人バンドに提供した。
『自分で歌った方が良いな。 とは思いませんでしたか??』
思ったよ。 思ってるよ。 今だって。
地の底に埋めたい思いを平気で掘りおこすから、あの女に尋常じゃなくイラついたんだ。