エクセル・インフェルノ

勇者だと言う彼女は右に左と周りを確認し急に何故か剣を鞘に収めてしまった。


「なるほど。どうやら此処で死ぬ予定のプレーヤーは二人だけって事か……」


その彼女の言葉を聞いた瞬間に俺は身を乗り出し怒り叫んだ。


「どういう意味ですか!死ぬ予定って……夏生はログインした時から死ぬのが決まってたと言うんですか!それに二人って……じゃあ、あと一人は誰だって言うんです!」


俺が怒り尋ねると「まぁまぁ」と、怒る俺に両手を上下させ落ち着けと彼女は苦笑いしてから答えてくれた。


「簡単に言うと死ぬのは君でも、その夏生君でも……そして君の後ろで、お礼を言いた気にモジモジしている、そこの可愛い女の子でも誰でも良ったのよ?ってこと」


後ろのと言われ慌て振り向くと。先程、俺が突き飛ばし助けた……いや夏生が自分を犠牲にして俺を含め救った女の子が泣きながら立っていた。



「お前……てか何で逃げてないんだよ!」


俺はケルベロスの射程圏内から外れたのにもかかわらず、また舞い戻って来た女の子に苛つき怒鳴った。


「だって……私のせいで貴方の親友が……それなのに一人だけ生き延びて逃げるなんて私には出来ない!私も貴方と戦い彼の仇を討ちたい!だから……」


「お前のせいじゃねぇ!俺が、お前の前に立ったから起きた事だ!だから俺のせいで、お前が巻き込まれただけだ……だから気にしないで逃げろよ!」


一緒に戦いって言う気持ちは嬉しかった。


けどケルベロスと戦わせる訳にも行かないし……と、その子を思い突っぱねた。



「ふふ。感動の運命の出会いを、もう少し見ていたいけど、どうやらケルベロスが待ってくれないみたいだし、一旦ここを離れるわよ二人とも!話しは後よ!」


俺達の話しを聞いていた勇者の姉さんが突然、そう叫び俺達二人の手を握り締めて来て、そして叫んだ。


「転移!ニヴル平野!」


刹那。俺達の身体は、この場所に移された時と同様に光に包まれていた……









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