エクセル・インフェルノ
俺とリオナが武器を呼び出し装備したのを確認したリリアは、満足気な顔で頷いてから直ぐにバトルの説明に入った。
「次はバトルだけど。二人とも解ってると思うけど、ここはゲームの中……つまりは仮想世界なのは言われなくても理解しているよね?」
当たり前の問いに俺は答えるのも馬鹿馬鹿しいとさえ思ったが一応は答えて置いた。
「そんなのは解ってるよ……」
当たり前の問いに当たり前に答えると頭の中に……死んだ夏生の顔が浮かんで来た。
(ゲーム……そうだよ。ただのゲームのはずが何で、こんな事に……夏生)
夏生を思うと、悲しさと憎しみで呼び出した剣を握る手に自然と力が入っていた。
「ソウマ。悔しいなら話しを聞きなさい?夏生君の仇のケルベロスを倒しに行きたいでしょ?」
「ケルベロスを!?」
そのリリアの言葉に驚いた。戦い方を教われば俺はケルベロスに勝てるのか!と、思わずリリアの目をすがる思いで見ていた。
「勝てるわよ。勿論、二人だけでは流石に無理だけど今は私が居る。だから取り敢えず止めは二人に任せるってことね?」
「それでも良い!ケルベロスに一矢報いれるなら……リリア!」
「よし。なら簡単にサクッと教えるわよ?さっきも言った通り、ここはゲームの中。だから現実世界では有り得ない力を発揮出来るって事を言いたいの。それを先ずは頭に入れておいて?」
そう言ったリリアは俺達から少し放れ、そして振り向き真剣な顔付きで剣を構え、こちらを見た。
「じゃあ見ててよ。二人とも?」
そのリリアの言葉にリオナとゆっくり首を縦に振った。
「はぁぁぁぁっ!!」
いきなりリリアが叫んだと同時に俺達の視界からリリアが突然消えた。
「えっ!?どこだ?どこに行ったんだリリア?」
リオナと二人キョロキョロしていると背後で僅かだが突風が吹き。その突風でリオナの長く綺麗な茶髪が肩まで上がりゆっくりとまた背中に落ちるのが見えた。
「ふふ。どこ見てるの?私は、こっちよ二人とも?」
刹那。背後から、いきなり声をかけられ俺達は慌て後ろを振り向いたら……いつの間にかリリアが居て笑っていた。