最後の恋にしたいから
しばらくして落ち着いた安藤課長から、沙希さんの話を聞いたのだった。

彼女は安藤課長の大学時代の親友で、祐真さんにたまたま紹介したのがきっかけで、二人は付き合ったとか

沙希さんは、祐真さんからのプロボーズを受けて仕事を辞め、去年の夏には結婚をする予定だったらしい。

だけど、あんな事故が起きてしまい、彼は自責の念から、かなり自暴自棄になっていたと聞いた。

「まだ一年経ったばかりなのに、簡単に忘れられるのかなって……。それに古川さんて、雰囲気が沙希に似てるから、余計に気になってしまったの」

だから安藤課長は、どうしても確かめたかったらしい。

「突然呼び出してごめんね。祐真が、なかなか捕まらないから、古川さんに聞いちゃった。私から呼び出されたこと、話していいからね」

「はい……。こちらこそ、真実が知れて良かったです」

課長と部屋を出てデスクへ戻ってからも、頭の中は寿人にフラれた雨の夜のことでいっぱいだった。

あの夜、課長が私を心配してくれていたのは、沙希さんのことが重なったからじゃないのか、それを悶々と考えていた。
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