最後の恋にしたいから
ーーーあれから半月。

7月も半ばを過ぎ、昨日梅雨明け宣言がされた。

すっかり夏の陽気で日差しは強くなっていたけれど、その雰囲気を堪能出来ないでいる。

安藤課長から、衝撃的な名越課長の過去を聞かされても、それを彼に聞く勇気が持てれないでいたのだ。

「奈々子、付き合ってからどんどん元気がなくなっているけど、どうしたんだよ?」

休日、課長の部屋へ呼ばれてソファーでぼうっとしていると、彼が優しく抱きしめてきた。

休みでも仕事が入ることが多い課長と、ようやくゆっくり出来る時間が出来た気がする。

プライベートの彼の格好はシャツにジーンズとラフなもので、それが本当に似合っていた。

「そんなことないよ……」

やっぱり、課長にも分かるくらい気持ちが表に出ているのに、それを伝えれない自分が嫌になる。

「ウソついてるな、奈々子。オレは、本音を話して欲しいって言ったろ? 何をそんなに悩んでるんだ?」
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