最後の恋にしたいから
良かった。

課長の方から、話題を変えてくれた。

ホッとしながら、次の話の返事を考える。

「気分転換ですか? 例えば?」

こういう電話でも、十分気分転換にはなってるけど……。

「うーん。そうだな。例えば……気晴らしに休みの日に、どこかへ出かけるとか?」

なるほど。

それはいい案かもしれない。

「いいですね! ショッピングしたり、美味しいもの食べたり……。そうだ。私、海が好きなんですよ。見に行くだけでも、見に行きたいですね」

すっかりテンションが上がった私に、課長はさりげなく言ったのだった。

「じゃあ、次の休みに海を見に行くか?」

「えっ? そ、それって、課長と二人きりでですか?」

「当たり前だろ?」

そういうつもりで言ったんじゃないのに……。

まさかのデートのお誘いに、戸惑いを隠せなかった。
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