最後の恋にしたいから
結局、社内で堂々と課長と絡めるチャンスを逃してしまい、その日はそれ以外接する機会なんてなかった。

仕事が忙しい課長は、営業さんの同行やら来客やらで、落ち着いて社内にいる時間が少なかったから。

それに元々課が違うだけに、こじつける理由すら出来なかったのだ。

「あーあ、私ってば何やってるんだろ」

自宅に戻り、夕飯もお風呂も終えて、現在23時。

ベッドへ仰向けで寝転がると、思い切り深いため息をついた。

せっかく課長と少し親しくなれたのに、昼間の私の態度じゃ、それも台無しかも。

課長はどんな風に感じたかな?

感じ悪いとか思ったかな……。

嫌われたらどうしよう。

「って、私ってば何を心配してるのよ!」

寿人に失恋したばかりで、課長の反応をいちいち気にするのはおかしい。

気合いを入れ直そうと起き上がった時だった。

突然鳴り始めたスマホに、体がビクッと反応した。
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