最後の恋にしたいから
「え?」

少し頬が緩んだ私は、その一言にさえ、笑いを含ませてしまった。

それは課長に通じたらしく、ムッとした声色が聞こえてきた。

「オレは、いたって真剣なんだけどな。今、奈々子が言ったこと、可愛すぎるんだけど……」

可愛すぎる⁉︎

課長って、会社のイメージでは、もっとソフトな言い方をする人に見えるんだけどな。

それが、意外にもストレートに、それもどこかぶっきらぼうな言い方をするから、ギャップにドキドキしてしまう。

「……何か言えって」

言葉を失っている私に、課長は照れ臭そうにそう言う。

一体、なんて返したらいいんだろう。

とにかく、胸の鼓動が速くなっていることは間違いない。

「可愛いなんて言われたら、ドキドキしちゃう……」

それが精一杯の表現で、目の前に課長がいなくても、私の顔はきっと真っ赤だ。
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