最後の恋にしたいから
二年付き合って、最後の言葉がそれ?

お互い仕事を持っていても、平日に一度は必ず会っていた。

週末は、寿人の部屋に泊まりに行くのが当たり前で……。

いつだって、私に『好きだよ』って言葉をかけてくれたよね?

風邪をひいて寝込んだら、仕事帰りに飛んで来てくれたじゃない。

『大丈夫か? オレが代わりにメシ作るから』って、作ってくれたおかゆの味を、今でもハッキリと思い出せるのに。

つい半年前には、『これから先の未来も、奈々子と一緒にいたい』って、言ってくれたじゃない……。

クリスマスには指輪を贈ってくれて、その言葉が現実になることを期待したのに。

「どうしてなの? 今までの寿人の想いは、そんなに呆気なく無くなってしまうものなの?」

今日までの時間を思い出して、涙を抑えきれなくなった。

ポロポロとこぼれ落ちる涙を見ても、寿人は表情一つ変えない。

それどころか、冷たく言い放ったのだった。

「ずっと努力してただけだよ。奈々子とうまくやろうと思って。だけど、もう疲れた」
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