最後の恋にしたいから
幸せな夜と衝撃的な過去
恋って、こんなにドキドキするものだったっけ?

寿人とは、結婚の話も出ていたくらいだったのに、課長を想うとまるで、初恋のように胸が締め付けられる。

土曜日、私の告白を聞いた課長は、しばらく呆然としていて、声をかけるまで放心状態だったのには、思わず笑いが出てしまった。

まさか、即答でOKしてもらえるとは思っていなかったと、あの大好きな照れた顔で言われたのだった。

「ねえ、奈々子。リッブ変えた? それにチークも」

鋭い彩乃の突っ込みに、退社の準備をしていた手が止まる。

今日、月曜日は、一日中課長のことばかり考えていて、仕事もどこか上の空だった。

そんなこともあり、彼女の指摘に体がビクつく。

「うん、変えてみた。気分転換にと思って」

我ながら、引きつった笑顔をしていると思う。

だけど、それは仕方ない。実は今夜は課長のマンションへ呼ばれているのだ。

付き合い始めたばかりで、さっそくお呼ばれするなんて緊張するけど、半分期待もある。

少しでも可愛くみせたくて、ピンク系統の淡い色合いに変えたのだった。
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