最後の恋にしたいから
「疲れた……?」

とても信じられない言葉に、思わず聞き返す。

そんなやり取りを、裕子さんは不安げに見ていた。

どうしてあなたが、不安そうな顔をするの?

不安なのはこっちよ。

涙を指で拭い、もう一度寿人を見つめ直す。

「ねえ、疲れたってどういう意味? 寿人が私に好きだって言ってくれたこと、あれは嘘じゃないんでしょ?」

ほとんどすがるように問い詰める私に、彼は視線を泳がせた。

それはどこかバツ悪そうで、私の嫌な予感はどんどん膨らむ。

「自分に言い聞かせてた部分はあったかな? もっと、奈々子と分かり合えるかとも思ったけどムリだった。正直、あんまり好きじゃなかったんだよ。ごめんな」

言い返すことも出来ないくらいに、この二年間の時間が崩れていく。

寿人の最後の言葉は、今まで信じていたものを壊すには充分だった。
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