ぺピン
駅を出たとたん、強い雨風が恭汰を襲った。

タクシー乗り場に視線を向けると、長蛇の行列ができていた。

やっぱり、歩いて帰った方が手っ取り早い。

そう思って歩き出そうと思ったら、最後尾に京香が並んだ。

すでに電車に乗って帰っていると思った京香の存在に、恭汰は驚いた。

恭汰はタクシー乗り場に駆け寄ると、
「上杉さん」

京香の隣に並んだ。

「あら、先輩」

恭汰の顔を見た京香が言った。

「まだここにいたんだね」

そう話しかけたら、
「先輩もまだいたんですね」

京香は言い返した。
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