ぺピン
「いや、ストーカーって…。

電車がこないし、ここから歩くのも大変だからタクシーで帰ろうかと思った訳で…」

それ以上聞きたくないと言うように、京香が列から抜けた。

「えっ、ちょっと、上杉さん！」

彼女の後を追うように、恭太も列から抜け出した。

「何ですか、しつこいです」

京香が迷惑そうに言った。

「ど、どこへ行くんだよ？

タクシーで帰るんじゃなかったのかい？」

そう聞いた恭汰に、
「歩いて帰るんです。

つきまとわないでください」

京香が答えた。

「そんなつきまとうなんて…。

俺は女の子１人でこの雨風の中を歩いて帰るのは危険だと思ったから止めようとしただけで…」

「それを世間一般では“つきまとい”、あるいは“ストーカー”と言うんです」

京香が言った。
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